診療部長ご挨拶


本学のリウマチ・膠原病内科は、2000年より内科学講座の1部門として正式に発足しました。関節リウマチをはじめとする膠原病は、多臓器に病変をきたす全身性自己免疫疾患であるため、他の診療科と密に連携を図り全人的な医療を提供しています。

近年では、特定の分子のみを阻害する生物学的製剤やJAK阻害薬の登場により、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、寛解率も年々向上しています。全身性エリテマトーデスにおいても、新規免疫抑制薬や生物学的製剤の登場により、ステロイド薬を中止できる症例が増加しています。

しかしその一方で、関節リウマチを除く多くの膠原病においては、依然としてステロイド薬が治療の中心であり、長期投与に伴う副作用が問題となっています。

当科ではステロイド薬の使用を最小限にするよう努力し、一部の疾患(軽症SLE、糖尿病合併リウマチ性多発筋痛症、一部のIgG4関連疾患など)ではステロイド薬を使用しない治療も試みています。

教育面では、医局員がそれぞれの個性を発揮して活躍できるよう体制を整えております。

研究面では、炎症性筋疾患における筋MR画像解析から臨床像の推測や間質性肺疾患の予後予測、炎症性筋疾患の病態解明と新規治療開発、リウマチ性疾患における中枢性感作、関節炎と脳の関連など、独創性の高い研究を行っています。これらの研究は、ある特定臓器と他の臓器との関連性に着目したものであり、全身性疾患である膠原病の病態把握には極めて重要なアプローチであると考えています。

診療部長

吉田 健